7月19日、ペンシルベニア大学の学際的な研究者グループが、法学部のDavid Hoffman教授の指導のもと、 「コードが法律である」という信条の下、自動管理・運営などの革新的なコンセプトを掲げるICOについての論文を発表した。しかしながら、同グループの調査結果では、このようなコンセプトを掲げたICOのほとんどはプロジェクト開始時に約束されたコンセプトの実現に失敗しており、さらにこのような場で提案されていたトラストレスの仕組みにはあまりメリットがないと結論づけられた。
ペンシルベニア大学の研究では、ICOのホワイトペーパーとソースコードが一致するか調査
今週、ペンシルベニア大学の研究者らと法学部のDavid Hoffman教授は「Coin Operated Capitalism」というICOに関する興味深い論文を発表した。共著者は、Shaanan Cohney(コンピュータ・サイエンスの博士)、David Wishnick(ペンシルベニア大学法学部・学際的技術センターの研究員)、Jeremy Sklaroff(ペンシルベニア大学のJD / MBAプログラムに在籍)などである。
この研究では、2017年に資金調達に成功した上位50件のICOに関して、ICO時にホワイトペーパーなどで約束されたコンセプトは実際のプログラムと一致するかどうか調査したようだ。その結果、ICO時に投資家に約束していた内容とプログラムの内容には驚くべきほどの乖離があることがわかった。
「『スマートコントラクト』などの自動化に関するメカニズムは、従来の手法と比較した際に必ずしも有益ではない。」とWishnick氏は説明している。ところが、一部の支持派の人々によるとICOにより生み出されるものは革命的であるというのだ。
本来のコンセプトに一致したのは上位50件のICOのうちわずか20%
上位50件の調査の結果によると、ホワイトペーパー(契約書)とコードベース(納品済みまたは未納品約束)の両方を比較すると、ほとんどの場合、内容が一致しないようだ。これらの比較により、内容が全て一致するとわかったのはわずか20%のようだ。「約60%が約束していた機能のうち1つを実装せずじまいで、20%以上では2つ以上の機能の実装ができていなかった。」と論文では強調されている。
「驚くべきことに、慎重に構築された『トラストレスの取引システム』に重点を置き信頼をせよるコミュニティにおいて、コインの発行者の多くは以前は非公開になっていたプログラムを利用して中央管理体制を維持していたのだ。このようなプログラムはシステムの構造を修正することすら可能にするものであった。」
従来の法制度と比較して、スマートコントラクトを推進するコミュニティは活気に溢れているが、いわゆる匿名性のプロトコルはコード査読が必要
論文では、スマートコントラクトが法律などに規制を受けることなく開発されることは、「リスク」にもつながるが、「クリエイティビティ」にもつながると結論づけられている。「スマートコントラクトの開発者らは、「あまり頭を使わずに、いくつもの文章に同じようなフレーズを使い回す法律家のコミュニティ」よりもはるかに創造的だ。スマートコントラクトに信頼をおくコミュニティは、情熱や活気に満ち溢れている。」と述べている。しかしスマートコントラクトの実装やブロックチェーン開発に関する規約は厳しく評価・監査される必要がある。
「スマートコントラクトやブロックチェーンのコードの開発以外にも、我々の研究では仮想通貨システムのコードを検証し、監査し、外部からも理解を得られるようにするエコシステムの重要性を強調している。」と論文では結論づけられている。
[Bitcoin.com からの翻訳]
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