各国中央銀行発行の仮想通貨 規制当局の動き

各国中央銀行発行の仮想通貨 規制当局の動き

最近の規制当局のニュースでは、注目すべき報道が4件あった。スペインでは、中央銀行は中央銀行が独自に仮想通貨(CBDC)を開発することを支持する報告書を発行した。台湾では、中央銀行の責任者はCBDCに関する注意喚起を促した。 ブロックチェーン研究機関(Blockchain Research Institute)は、最近の円卓会議で行われた規制の透明性についての議論を公表した。ロシアでは、裁判所が出版会社に対して仮想通貨に関する広告は違法であると警告を発表した。

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スペイン中央銀行は仮想通貨(CBDC)の独自開発を支持

スペインの中央銀行であるバンコ・ド・エスパーナ(Banco de Espana)は、最近、仮想通貨とブロックチェーンの技術がスペイン経済に与えうる影響を分析した報告書を発表した。

この報告書では、中央銀行が発行する仮想通貨(CBDC)の導入により、バンコ・ド・エスパーニャが金融政策をより効率的に実施できるようになるという主張が記述されている。「CBDCの導入について検討すべき論点は、仮想通貨取引に関わる人々が直面しなければならない市場からのリターンを適切にコントロールするということに直結しており、これは通貨政策に関係することだ。また、特に現在のような低金利の状況では、金利のゼロ水準に関連する制限を排除できるということは理論上はかなり効果を期待できる。」と、報告書では詳述されている。

台湾中央銀行責任者、CBDCに関する注意を喚起

対照的に台湾中央銀行責任者のヤン・ジンロン(Yang Jinlong)氏は、最近、金融機関が中央銀行発行の仮想通貨に対して慎重な姿勢をとるということを主張した。

金融テクノロジーエコロジーサミットでは、ジンロン氏は次のように述べている。「金融当局は、中央銀行の仮想通貨(CBDC)発行について慎重な態度をとるべきだ。我々はこの問題を含め、仮想通貨の開発については注意を払い続ける。中央銀行がCBDCを発行すべきかどうか、今後も議論が続くだろう。現在、CBDCに関する国際的なコンセンサスでは、CBDCは技術、セキュリティ、ポリシー、ユーザーのプライバシー保護の問題など複雑な問題が多いことから、一般公開は非常に慎重に検討した上で行うべきである、ということになっている。」

ブロックチェーン研究機関(Blockchain Research Institute)支持者は仮想通貨とブロックチェーンに関する規制の透明性を要求

ブロックチェーン研究機関(Blockchain Research Institute)はブロックチェーンと仮想通貨についての規制の明確化を求める報告書を発表した。

この報告書「2018 Blockchain Regulation Roundtable」では、「ブロックチェーンの新興企業の役員」、「様々なグローバル銀行および証券監督者の上級代理人」、「上級非規制当局者」、「ビジネスモデルにブロックチェーンが関与している業界での様々なビジネスリーダー」、「弁護士、会計士、投資銀行家、およびその他の主要業界の専門家」などが参加した議論の要旨がまとめられている。

同報告書では、規制に関する4つの主な問題について強調されている。4つの問題とは、「規制上の明快さの欠如、法令や規制の陳腐化、規制当局と他の利害関係者との有意義な議論の欠如、金融サービスプロバイダーとブロックチェーンの起業家との議論の欠如」であると書かれている。また同報告書では6つの提言がなされており、会議の参加者は「様々な利害関係者による委員会を発足すること、すべての利害関係者と国民に自己主権的なアイデンティティ確立の準備を促しデジタルアイデンティティは有効であると宣言する法律を可決すること、新興産業の監視を行う国の規制当局を設立して個別機関が多種多様な規制を作成するのを防止すること、仮想通貨資産の区別を合意の上で確立すること、それに応じてブロックチェーン起業家が軽んじられることを防ぎ仮想通貨関連のスタートアップ企業を支援すること、特別利益団体の設立してガバナンス問題をアプリケーションやドメインに進展させることを奨励すること」を行うと宣言されている。

ロシア裁判所、仮想通貨広告は広告法違反であると警告

モスクワの第11回仲裁裁判所は、ある出版社の新聞に掲載された仮想通貨広告がロシアの法律に違反していると警告した。

今回問題になった出版社はUnity Nizhnekamsk誌を発行しているUnity NK社で、タタスタンの連邦独占サービス局(OFAS)とロシア中央銀行のヴォルガ・ヴィャトカ中央管理局がこの問題について関与しているそうだ。この裁判では、Unity Nizhnekamsk誌に掲載された「ビットコイン(Bitcoin/BTC)、イーサリアム(Ethereum/ETH)、ジーキャッシュ(Zcash)などへの投資」や「マイニング企業の創設」の広告をロシアの中央銀行が発見したことがきっかけになっており、同機関が連邦独占サービス局に報告したそうだ。

タタスタンの連邦独占サービス局(OFAS)によると、「広告に掲載された内容によると、 Blumchen Richard Timurovich氏(広告に掲載された電話番号の所有者)はコンサルティングではなく、金融サービスを提供していた」ようだ。したがって、ロシアの広告法によって義務づけられているように、Unity NK社は広告が金融サービスを提供する際に提供者の名前を詳述することができなかったため、行政的責任を問われるべきであると判断したという。

当初、Unity NK社に罰金として5万ルーブル(約738米ドル)を請求することも検討されたようだが、結果的に裁判所は警告だけにとどまった。「第一審裁判所は、5万ルーブルの罰金刑の適用は不当に重く、犯罪の重さと司法上の罪の程度が釣り合わないので非合理だと考えた。」と裁判官は述べた。「(Unity NK社に)警告を発することは、刑事司法の一般的な憲法原則とその個別項目、憲法上定められた目的についての正当性、利益の保護、などの項目を満たすことができ、行政責任の措置の予防的性質を利用するのに十分である」と詳述した。

[Bitcoin.com からの翻訳]

画像提供:pixabay

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