最近の研究では、時価総額トップ100の仮想通貨のうちホワイトペーパーで言及された「プロダクト」のリリースに成功しているのはわずか36件のみであるという結果が得られた。この研究はInvest in Blockchainという新たなウェブサイトで発表された。ホワイトペーパーで言及された「プロダクト」のリリースに成功しているということをどのような基準で判断するのか議論が白熱したのは確実ではあるが、論文では、どのような点で各仮想通貨が事業に失敗したと言えるのかを読者に明示できるような工夫がされている。
時価総額トップ100の仮想通貨のうち、プロダクトを伴うのは36種類のみ
ホワイトペーパーで言及された「プロダクト」を実際にリリースすることに成功しているのはわずか36件のみであるということが判明した。「まず第一にプロダクトがどのようなものであるか、何により構成されるのかを定義することが重要である。」ということを前提として論文では述べられている。「プロジェクトを「オープンソース」で開発し、基本的なブロックチェーンを構築して起動するだけであれば、このような定義はあまり難しいことではない。我々はもう少し厳格な基準を以って調査しようと考えた。」そうだ。
「ブロックチェーン産業に対して皮肉な態度をとったり、ほとんどの仮想通貨は詐欺だと思ったりするようなごく一部の人々以外は、まだ仮想通貨に精通していないと言えるだろう。」とJohn Bardinelli氏とDaniel Frumkin氏は『Cryptocurrencies In The Top 100 With Working Products That Are In-Use』という論文で語っている。「実はごく一部の皮肉な態度をとる人々の考えは的を射ているのだ。」
この研究は2017年に設立されたInvest in Blockchainというウェブサイトで発表された。彼らは「実際に価値を提供できるようなプロダクトの開発に成功した仮想通貨が、市場での時価総額トップ100の仮想通貨の中にどれだけあるのかを調べた。2017年に行われた同様の研究ではかなり絶望的な結果が出たが、今回も状況が完全に変わったとは言い難い結果となった。」と主張している。
この研究では、「実際に機能するプロダクト」とは「1. 一般公開されていること」、「2. 基幹となるプロダクトが公開されてから、すでにある程度時間が経っており、アップデートが何度か行われていること」、「3. 企業や個人が日常的にそのプロダクトを分散型アプリケーション、スマートコントラクト、または仮想通貨トランザクションとして利用できること」、を条件として定義されている。
ダッシュ(DASH)はプロダクトとして認められず
研究に当たって、著者達はホワイトペーパーの内容を、実際にリリースされたプロダクト、事業を運営している会社の現状、ロードマップ、リリースの履歴と照らし合わせたそうだ。このような過程で、「メインのサービスをリリースしたトップ100の仮想通貨でさえも、広義の意味では『プロダクトは機能している』と主張することが可能な仮想通貨があった。」と指摘されている。
「しかし、今回の研究では、最新バージョンのメインネットが我々の基準に満たないような事業は、機能するプロダクトをリリースできていないとみなすこととした。」と詳述している。例えば、「分散型プラットフォーム上で、メインネットは構築されているがネットワークを利用する意義がない場合は、『プロダクトが機能していない』と判断した。」と述べられている。
事業が成功し、プロダクトが機能しているとみなされたのは、「0xプロトコル、アーダー(Ardor/ADRR)、オーガー(Auger/REP)、バンコール(Bancor)、Bat(Basic Attention Token)、Biboxトークン、Binanceコイン、ビットコイン(Bitcoin/BTC)、ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash/BCH)、ビットシェアーズ(Bitshares/BTS)、バイトコイン(Bytecoin/BCN)、ディークレッド(Decred/DCR)、イーサリアム(Ethereum/ETH)、ゴーレム(Golem/GNT)、Huobiトークン、コモド(Komodo/KMD)、Kucoin Shares、Kyberネットワーク、ライトコイン(Litecoin/LTC)、Loomネットワーク、モネロ(Monero/XMR)、ナノ(Nano)、ネオ(Neo)、ピヴクス(Pivx)、ポリーマス(Polymath/POLY)、Pundi X(PXS/NPXS)、クアンアム(Qtum/QTUM)、リップル(Ripple/XRP)、シアコイン(Siacoin)、スチーム(Steem)、ステラ(Stellar)、テザー(Tether/USDT)、ワンチェーン(Wanchain)、ウェーブズ(Waves)、ジーキャッシュ(Zcash/ZEC)、ゼンキャッシュ(Zencash/ZEN)」などである。
前述の通り、今回の研究結果に関しては論争が起こるだろう。「ダッシュ(DASH)からフォークした仮想通貨であるPivxをリストに含めないのはどうかしているのでは?」という読者からのコメントに対して、著者の1人John Bardinelli氏は、「ダッシュ(DASH)を除いたのは、Dash Evolutionが原因である。これによってプロジェクト自体の目的が変わってしまっている。」と答えている。しかし、これについて別の読者が、「そのような判断は非合理だ。Dash Evolutionは次回のアップデートに関することであり、プロジェクトの目的は変化していない。ダッシュ(DASH)は完全に機能するプロダクトを提供しており、他のプロジェクトよりもはるかに発展している、」と反論している。
[Bitcoin.com からの翻訳]
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