Autonomous Research社が行なったICO(イニシャル・コイン・オファリング)は世界全体で90%以上減少したということがわかった。同社によると、今年初めに行われたトークンセールでは約30億ドルもの資金調達が行われたが。今年9月のICOへの投資額は合計で3億ドル未満にまで減少したそうだ。
ICO活動、低迷期に
Autonomous Research社の調査により、今年9月時点でICO活動はかなり減少していたことが判明した。同社は以下のように説明している。「先月はICOで資金調達された金額は約3億ドルとなった。また8月時点では約4億ドルだった。今年1月時点では24億ドルも調達されていたことと比べると大きく減少したことがわかる。EOSや他のプライベート・トークンを含めると、史上最高額は約30億ドルを超えており、現在毎月のICO活動は90%減少していると言える。」
「EOSとプライベート・トークンをデータに入れるとICOにより調達された資金は今年1月から88.53%も減少した。またEOSとプリベート・トークン以外については、この数値は90.7%となった。我々は9月からのトークンセールのデータについても見直したが、やはりICO活動については減少傾向にあるということが言える。」とAutonomous Research社は発表した。
Autonomous Research社は、2009年に創設されて以来、独立した調査会社として銀行、投資、保険、金融、および情報サービス業界における調査を行なっている。またAutonomous Next社はロンドンを拠点として活動しており、「テクノロジーがこれからの金融業界へ与えうる影響」についての調査を専門としている。
仮想通貨投資家はICOに興味を喪失
Autonomous Research社はICO活動の低迷について3つの理由を挙げて説明している。「まず投資家は(法的には拘束力を持たず、それ自体が価値を持たない)ユーティリティトークンを購入するという考え方は評価していない。ユーティリティトークンよりは、株式を購入したいと考えている人がほとんどだ。」と1つ目の理由を述べている。
また「Pitchbookが公開しているブロックチェーンとビットコイン(Bitcoin/BTC)関連ベンチャーキャピタルのデータ」を調べると、「2018年8月には、10億ドルを超える資金が流入したことで、ベンチャー側にもその後影響が出ている」ことがわかるそうだ。
そして同社はこれには2つの理由があると考えている。「RobinhoodやRevolutのような企業が仮想通貨業界に進出したこと」や「Bitmainが一般公開前に、なるべく多くを占有しようとしていること」が影響していると述べている。
セキュリティ・トークンの公開
ICO活動の減少の要員としては、「STO(セキュリティ・トークン・オファリング)」も挙げられるだろう。米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission/SEC)によると、ICOは証券取引として扱われる可能性があり、その場合SECの管轄下になるということだ。「STOは新たなICOの形である」とブロックチェーン・コンサルタントのMichael K. Spencer氏は語り、「セキュリティ・トークンは証券取引であるというのは事実だ。」と強調している。
セキュリティ・トークン・オファリングはまだ発展途中であると述べた上で、Autonomous Research社は「STOは法整備が整う半年後までは急激な成長を遂げるとは考え難い。」と説明している。
同社がSTOのネガティブな側面として最後にあげたのは、「2015年以降中国のP2P関連の市場が何度も危機的状況に陥ったこと、またこのようなリスクを伴う資本がICOとして成立するのかどうかという懸念」である。
中国政府は仮想通貨プロバイダやICOなどにより提供されるサービスを全て禁止したいと考えているが、実際のところトークンセールなどの活動は今でも行われている。中国人民銀行(PBOC)は先月、中国で設立された仮想通貨取引所プラットフォームは、営業上の都合により多くが海外に移転したが、国内の利用者に対してサービスを提供し続けていることを認めた。また、8月にBitcoin.comで報道されたように、中国ではP2P仮想通貨融資が進んでいる。
[Bitcoin.com からの翻訳]
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