仮想通貨は確定申告が必要?
仮想通貨を保有している人で、1月1日~12月31日の間に利益が20万円を超えた場合は確定申告が必要です。
主婦や学生など扶養に入っている人は利益が33万円以上になった場合、フリーランスや個人事業主は利益額に関係なく確定申告が必要です。
仮想通貨は、「他の仮想通貨との交換」「商品の購入」「売却」により利益が発生した場合が対象となります。何もせずただ保有しているだけであれば確定申告の必要はありません。
確定申告の期間は2月16日~3月15日です。
仮想通貨は「雑所得」
仮想通貨での利益に対する税金は「雑所得」となります。「雑所得」は給与所得や株での所得と合算して総所得金額を求めて税率が決まる「総合課税」の対象です。
「総合課税」は総所得金額が増えれば増えるほど税率が高くなる「累進課税制度」が適用されます。
所得税の税率は最高45%までアップ、住民税10%と合計すると最高55%になります。仮想通貨に対する税率だけではなく、給与所得に対する税率まで上がってしまう可能性があります。
【所得金額と税率】
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
仮想通貨は損失の繰越しができない
雑所得は控除がありません。また、他の所得と損益通算することができず、翌年への損失の繰越しもできません。損益通算とは、赤字を利益と相殺することです。これにより、納付する税金を減額することができます。
仮に仮想通貨で昨年200万円の損失があり、今年1000万円の収益が合った場合の課税対象額は「1000万円」となります。
「雑所得」の場合、『同年(同期)で雑所得内のみ』という条件を満たしていれば、赤字との相殺が可能です。
仮想通貨の所得金額計算方法
売買の度に所得を計算する必要があります。原資は、1コインの取得金額×売却枚数で計算します。
仮想通貨同士で売買・交換
日本円に換金しなくても、売買で利益が一定以上ある場合は確定申告の対象になります。
A. 20万円で1BTCを購入、それが100万円に値上がりしたタイミングで他の仮想通貨100万円分を購入した場合
計算式:100万(BTC)- 20万(原資)= 80万(所得)
B. 50万円で5ETH(1ETH=10万円)を購入したが価値が下がり、20万円で全てを売却した場合
計算式:20万(売却額)- 50万(原資)= – 30万(所得)
AとBが同じ期の間であったため相殺した場合
計算式:80万(A)- 30万(B)= 50万(所得)
仮想通貨を売却して法定通貨(円)に換金
20万円で1BTCを購入、40万円に値上がりしたタイミングで1BTCを売った場合
計算式:40万(売却額)- 20万(原資)= 20万(所得)
60万円で3BTCを購入(1BTC=20万)、1コイン50万になったタイミングで0.5BTCを売却した場合
計算式:25万(売却額) - 10万(原資) = 15万(所得)
原資計算式:20万(1BTCの取得額) × 0.5(売却枚数) = 10万(原資)
仮想通貨を使って商品やサービスを購入
30万円で1BTCを購入、1BTCが100万円になったタイミングで100万円の商品を購入した場合
計算式:100万(商品購入額)- 30万(原資)= 70万(所得)
60万円で2BTCを購入(1BTC=30万円)、1BTCが100万円になったタイミングで0.5BTCを使って50万円の商品を購入した場合
計算式:50万(商品購入額) - 15万(原資)= 35万(所得)
原資計算式:30万(1BTCの取得額) × 0.5(売却枚数) = 15万(原資)
60万円で2BTCを購入(1BTC=30万円)購入したが、1BTCが10万円に価値が下がってしまったタイミングで20万円の商品を購入した場合
計算式:20万(商品購入額)- 60万(原資)= – 40万(所得)
仮想通貨のハードフォーク(分岐)による新コインの取得
仮想通貨のハードフォーク(分岐)で新しいコインが付与された場合、取得価格は0円となります。
このコインを売却した場合は売却価格、商品を購入した場合は商品購入額、他の仮想通貨に交換した場合は購入額がそのまま所得金額となります。
仮想通貨の確定申告に必要な書類
・申告書A
・源泉徴収票(年末に会社から渡されます)
・仮想通貨取引に関する書類
└ 入金・出金明細書
└ 取引履歴
└ ウォレットのページを印刷した資料
事業所得や不動産所得のある方、分離課税を提出する場合は、上記に加えて確定申告書Bが必要です。
各種控除を受ける場合は、医療費の明細書、生命保険料・損害保険料の控除証明等が必要です。
記帳業務として日々の取引を記録する必要があるため、取引所のサイトから取引履歴をCSVでダウンロードしておくとよいでしょう。
仮想通貨の確定申告に便利なサイト
Cryptact
Cryptact(クリプタクト)で対応している取引所は18箇所、仮想通貨は2,000種類以上。デリバティブ取引もカバーしています。
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