最近、金融機関関係者がビットコイン(Bitcoin/BTC)関連事項について議論する時はいつでも、「ブロックチェーン」と比較しつつ仮想通貨は排除した上でテクノロジーだけは利用しようという方向に議論が落ち着くようだ。しかしながら、実際にブロックチェーンに基づいたプロダクトを使用する機会があったとしても、銀行は本音を言えばそのようなプロダクトは使いたくないようだ。
CLSネット
ゴールドマン・サックス、JPモルガン、バークレイズ、シティグループのような企業に対してFX決済サービスを提供しているCLSグループは、2年間開発を進めてきたプロジェクトを銀行が参加に反対したという理由で「強制終了」したそうだ。2016年9月には、同社はIBMと共同で新決済サービスを開始し、バンコク・アクチバン、バンク・オブ・アメリカ、中国銀行、香港三菱UFJ銀行、シティバンク、ファーストランド、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、HSBC、インテルサ・サンパロ、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー、ノイバーガー・バーマンなどとの協力体制を築いてきた。今年の夏に予定されているリリースを前にサービス全般の試験を進めているが、このような協力体制を築いてきた銀行のうち本当にプロジェクトに参加するのは約半数だと考えられている。
CLSの最高戦略責任者(CFO)であるAlan MarquardはFN Londonに対し、銀行にブロックチェーンを利用したサービスを導入してくれるように以来するのは「期待しすぎだ」と述べた。「ソフトウェアを導入するというような規模のことではないのだ。運用に関する知識とノウハウを蓄積する必要がある。そしてセキュリティ面でも大きな意味合いがあるのだ。」
開発コストは結局明かされなかったが、Marquard氏は「新技術の開発は通常さらに、資金が必要となる。我々はこのような段階に踏み出し、投資した。誰もが当たりくじだけを引くわけではないのだ。」またCLS広報担当者は以下のように答えた。「CLSネットを顧客に提供し、その迅速なシステムを利用してサービスを開発するというのはCLSが常に行おうとしてきたことである。機能や顧客が増え、ブロックチェーン技術が進むにつれ、CLSNetは顧客が独自のノードを展開することを実現できるようになってきた。」
分散型台帳への接続
CLSは現在直面している困難にも負けないようで、CLSとIBMは「Ledger Connect」という概念を実現するために提携することを発表した。「Ledger Connect」とは分散型大腸ネットワーク上において提供されているサービスを、銀行、投資会社、運用会社、新興ベンチャー、ソフトウェア販売企業などが導入・共有・利用できるようにするためのブロックチェーンを利用したプラットフォームである。ユーザーは、KYC処理や制裁スクリーニング、担保管理、デリバティブ・ポスト・トレード処理・調整、市場データなどにアクセスすることができるようになる。バークレイズ、シティグループを含む、9つの金融機関が試験運用に参加するそうだ。
「IBMとCLSは共に金融サービス業界で、ブロックチェーンによるソリューションの先駆けとなるような事業に取り組んできた。CLS Netの構築の成功やCLSが世界中の主要金融機関と築き上げてきた強い関係を生かして、Ledger Connectを金融サービス業界のブロックチェーン関連事業として成功させ、ブロックチェーンネットワークに付加価値を与えるようなサービスを提供し、この業界をさらに盛り上げていくことができるだろう。」とIBM Blockchainのゼネラルマネージャー、Marie Wieck(マリー・ウィック)氏は述べている。
[Bitcoin.com からの翻訳]
画像提供:(pixabay)